PFOS・PFOA(PFASの代表的な物質)は、全国のどこで、どの程度検出されているのでしょうか。この記事は、環境省が公表した一次データにもとづき、公共用水域(河川・湖沼・海域)と地下水におけるPFOS・PFOAの検出状況を、都道府県・地点単位で整理したデータ記事です。PFASそのものの性質や健康影響、規制の内容について知りたい方は、PFAS(有機フッ素化合物)とは?なぜ問題なのかをわかりやすく解説をあわせてご覧ください。
この記事で分かること
- 全国の調査地点数・指針値超過地点数の全体像
- 都道府県別の調査地点数・超過地点数・超過率
- PFOS+PFOA濃度が特に高かった地点(文脈情報つき)
- 「検出」「超過」といった数値の正しい読み方
データの概要
環境省は2026年3月27日、令和6年度に実施した公共用水域・地下水のPFOS・PFOA調査結果を公表しました。全国47都道府県・3,941地点を対象とした調査のうち、26都府県・629地点で指針値(PFOS・PFOAの合算で50 ng/L)を超過していたことが報告されています。[1][2]
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 調査地点数 | 3,941地点 |
| 指針値超過地点数 | 629地点 |
| 指針値超過が確認された都道府県数 | 26都府県 |
| 対象年度 | 令和6年度 |
調査対象地点数は前年度(39都道府県・2,078地点)から拡大しています。年度間で単純に地点数や超過数を比較する場合は、調査対象そのものが広がっている点にご注意ください。[2]
注目データとして、今回の調査でPFOS+PFOAの値が最も高かったのは、大阪府熊取町の地下水地点で73,000 ng/L(指針値の約1,460倍)でした。この数値の見方については、本記事後半の「PFOS+PFOA濃度が特に高かった地点」でも解説します。[1]
対象年度:令和6年度/環境省データ公表日:2026年3月27日/本記事の最終更新:本記事公開時
全国3,941地点のPFAS調査データを確認したい方は、全国PFAS検出状況データセット(令和6年度)からCSV・JSON形式でデータをダウンロードできます。
地点区分別の内訳
調査地点を河川・湖沼・海域・地下水の4区分で見ると、次のとおりです。
| 地点区分 | 調査地点数 | 指針値超過地点数 |
|---|---|---|
| 河川 | 1,469 | 132 |
| 湖沼 | 37 | 1 |
| 海域 | 115 | 0 |
| 地下水 | 2,320 | 496 |
湖沼には、原資料上「ため池」とされる1地点(香川県高松市・坂瀬池、検出下限未満)を含みます。地下水の超過地点数(496地点)が全体の超過地点数(629地点)の大部分を占めていることが分かります。
都道府県別の状況
都道府県別に、調査地点数・指針値超過地点数・超過率を並べると、次のとおりです(指針値超過地点数の多い順)。
超過地点数は調査地点数の多い都道府県ほど大きくなりやすく、超過率は調査地点数が少ない場合に不安定になるため、両方の指標をあわせて確認してください。
| 都道府県 | 調査地点数 | 指針値超過地点数 | 超過率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 463 | 94 | 20.3% |
| 熊本県 | 516 | 93 | 18.0% |
| 大阪府 | 147 | 69 | 46.9% |
| 静岡県 | 276 | 62 | 22.5% |
| 岐阜県 | 225 | 39 | 17.3% |
| 兵庫県 | 269 | 35 | 13.0% |
| 沖縄県 | 86 | 31 | 36.0% |
| 茨城県 | 93 | 30 | 32.3% |
| 京都府 | 110 | 26 | 23.6% |
| 埼玉県 | 123 | 19 | 15.4% |
| 広島県 | 54 | 19 | 35.2% |
| 愛知県 | 139 | 18 | 12.9% |
| 岡山県 | 65 | 16 | 24.6% |
| 栃木県 | 104 | 15 | 14.4% |
| 千葉県 | 127 | 13 | 10.2% |
| 神奈川県 | 101 | 11 | 10.9% |
| 奈良県 | 61 | 9 | 14.8% |
| 石川県 | 48 | 8 | 16.7% |
| 福岡県 | 70 | 6 | 8.6% |
| 宮崎県 | 39 | 5 | 12.8% |
| 和歌山県 | 89 | 3 | 3.4% |
| 福島県 | 70 | 3 | 4.3% |
| 大分県 | 38 | 2 | 5.3% |
| 三重県 | 47 | 1 | 2.1% |
| 山形県 | 16 | 1 | 6.2% |
| 山梨県 | 51 | 1 | 2.0% |
| 佐賀県 | 19 | 0 | 0.0% |
| 北海道 | 31 | 0 | 0.0% |
| 宮城県 | 3 | 0 | 0.0% |
| 富山県 | 93 | 0 | 0.0% |
| 山口県 | 1 | 0 | 0.0% |
| 岩手県 | 32 | 0 | 0.0% |
| 島根県 | 2 | 0 | 0.0% |
| 徳島県 | 13 | 0 | 0.0% |
| 愛媛県 | 41 | 0 | 0.0% |
| 新潟県 | 32 | 0 | 0.0% |
| 滋賀県 | 20 | 0 | 0.0% |
| 福井県 | 36 | 0 | 0.0% |
| 秋田県 | 17 | 0 | 0.0% |
| 群馬県 | 12 | 0 | 0.0% |
| 長崎県 | 58 | 0 | 0.0% |
| 長野県 | 11 | 0 | 0.0% |
| 青森県 | 24 | 0 | 0.0% |
| 香川県 | 17 | 0 | 0.0% |
| 高知県 | 31 | 0 | 0.0% |
| 鳥取県 | 8 | 0 | 0.0% |
| 鹿児島県 | 13 | 0 | 0.0% |
超過地点数の絶対数では東京都・熊本県が上位ですが、超過率で見ると大阪府(46.9%、147地点中69地点)が最も高くなっています。件数と率のどちらか一方だけでなく、両方を確認することで見え方が変わることが分かります。また、宮城県(3地点)や山口県(1地点)のように調査地点数がごく少ない道県では、超過率がゼロであっても、それが地域全体の実態を示しているとは限らない点にご留意ください。
PFOS+PFOA濃度が特に高かった地点
数値が高いことは、その地点で汚染源が特定されたことを意味しません。定期的な監視地点と、汚染範囲を確認するための追加調査地点などが含まれるため、数値だけから原因を判断することはできません。
ここまでの数値を地方別に一覧できるビジュアルも用意しています。
地方別に見る
元データ:EcoLog Dataset「全国PFAS検出状況データセット(令和6年度)」。数値の定義(指針値超過の判定基準等)はDatasetページの「数値の読み方」を参照してください。 Datasetページを見る
| 順位 | 都道府県 | 市区町村 | 地点区分 | 地点名 | 水域名 | PFOS+PFOA | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 大阪府 | 熊取町 | 地下水 | (地点名なし) | (水域名なし) | 73,000 ng/L | - |
| 2 | 岡山県 | 吉備中央町 | 河川 | 西側沢F1 | 宇甘川支流(日山谷川系) | 72,000 ng/L | - |
| 3 | 大阪府 | 摂津市 | 地下水 | (地点名なし) | (水域名なし) | 30,000 ng/L | - |
| 4 | 千葉県 | 鎌ケ谷市 | 河川 | 追加調査(水路A-①) | 金山落 | 21,000 ng/L | 地点名に「追加調査」の表記あり |
| 5 | 千葉県 | 柏市 | 河川 | 追加調査(水路A-②) | 金山落流入水路 | 16,000 ng/L | 地点名に「追加調査」の表記あり |
| 6 | 千葉県 | 柏市 | 河川 | 追加調査(水路A-③) | 金山落流入水路 | 15,000 ng/L | 地点名に「追加調査」の表記あり |
| 7 | 大阪府 | 熊取町 | 地下水 | (地点名なし) | (水域名なし) | 12,000 ng/L | - |
| 8 | 大阪府 | 熊取町 | 地下水 | (地点名なし) | (水域名なし) | 6,600 ng/L | - |
| 9 | 岡山県 | 吉備中央町 | 河川 | 西側沢B2 | 宇甘川支流(日山谷川系) | 6,400 ng/L | - |
| 10 | 大阪府 | 摂津市 | 河川 | 筋違橋北東 | 味生排水路 | 5,700 ng/L | - |
4〜6位の千葉県の地点は、地点名に「追加調査」という表記があります。これは汚染範囲を確認するための集中的な調査地点である可能性を示しており、その地域全体の定常的な状況を代表する数値とは限りません。表内の「備考」欄は、地点名にこの表記があるかどうかのみを示すもので、それ以外の地点について定期監視であると断定するものではありません。
数値の読み方
この記事の数値を正しく読むために、3つの状態を区別してください。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 検出下限未満 | 測定した結果、機器の検出限界より低かった状態。「PFASがゼロだった」という意味ではありません。検出限界の値は地点により異なります(本データでは0.1〜5 ng/L程度まで幅があります)。 |
| 数値が検出されたが50 ng/L以下 | PFOS・PFOAが計測されたが、指針値以下だった状態。 |
| 50 ng/Lを超過 | PFOS・PFOAの合計値が指針値を上回った状態。 |
指針値超過とは、PFOS・PFOAの合計値が50 ng/Lを上回った場合を指します。50.0 ng/Lちょうどの地点は超過には含まれません。本データでは、50.0 ng/Lちょうどの地点が7地点確認されています。
また、環境省の資料には「PFOS、PFOAの値の合計値とPFOS+PFOAの値については、有効数字の処理等を行っているため、必ずしも一致しない」という注記があります。PFOS単独の値とPFOA単独の値を単純に足し算しても、表のPFOS+PFOA欄の数値と完全には一致しない場合があります。[1]
データについて
本記事は、環境省が2026年3月27日に公表した令和6年度の調査結果にもとづいています。[1][2] データにはいくつかの限界があります。
一部の地点では、PFOS・PFOAそれぞれの個別値が空欄で、合計値のみが報告されています(例:茨城県内の一部地下水地点)。また、一部の地点の数値には原資料上「※」の注記が付されており、これは前述の有効数字処理に関する注記に対応するものと考えられますが、特別な異常値であることを意味するものではありません。過去年度の詳細な地点別データについては、本記事では扱っていません。
本記事は、環境省が新しい年度の調査結果を公表した際に、同じ形式で更新することを想定しています。
2026年4月に施行されたPFOS・PFOAの水質基準や、今回の全国調査結果が公表された経緯については、2026年4月、PFOS・PFOAの水質基準が施行。全国調査で629地点が指針値を超過で解説しています。PFASそのものについては、PFAS(有機フッ素化合物)とは?なぜ問題なのかをわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
参考資料・出典
- 環境省「令和6年度公共用水域及び地下水のPFOS及びPFOA調査結果一覧」 環境省の資料を見る(PDF)
- 環境省「令和6年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」 環境省の発表資料を見る
※ 本記事の集計は、上記一次資料をもとにEcoLog編集部が機械的に抽出・集計し、環境省が公表した総地点数・超過地点数・地点区分別内訳・超過都道府県数と照合したうえで作成しています。集計方法や個別の数値に誤りがあると思われる場合は、必ず一次資料をご確認ください。