地球温暖化

ヒートアイランド現象とは?原因・地球温暖化との違い・対策を解説【初心者向け第12弾】

ヒートアイランド現象とは、都市の気温が周囲より高くなる現象です。蓄熱・建物の密集・人工排熱という原因、地球温暖化との違い、緑化や省エネルギーによる対策を図解で解説します。

このテーマを研究する分野 気候科学

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建物・アスファルトの街木陰と緑のある街イメージ図 環境用語を一言で 第12弾
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前回のおさらい

前回は、身近な製品から生まれ、水や風で広がる「マイクロプラスチック」を解説しました。今回は、私たちが毎日暮らす「街の暑さ」に注目します。(初心者向けシリーズ一覧はこちら)

夏の暑い日、アスファルトの道路から熱が伝わってくるように感じたことはありませんか? 一方、近くの公園や木陰に入ると、少し涼しく感じることがあります。同じ街の中でも暑さの感じ方が違う理由の一つが、「ヒートアイランド現象」です。今回は、原因、地球温暖化との違い、暮らしへの影響、そして対策を整理します。

1 ヒートアイランド現象とは?一言で言うと

One Phrase / ヒートアイランド現象を一言でいうと
「都市の気温が、周囲よりも高くなる現象」

気温の分布を地図にすると、高温の地域が都市を中心に島のように広がります。そのため「ヒートアイランド(熱の島)」と呼ばれています。[1]

気温都市中心部で最も高い郊外住宅地都市中心部住宅地郊外模式図(実測データではありません)
図① ヒートアイランド現象の模式図

この現象は夏だけのものではありません。気象庁の解説では、都市化の影響は8月より1月のほうが大きいと示されています。これは主に、夜間の現象の強さの違いによると考えられています。[8]

つまり、ヒートアイランド現象は、都市のつくり方や土地の使い方と深く関係しているのです。

2 なぜ都市は暑くなるの? 3つの要因

気象庁は、主な要因として次の3つを挙げています。[2]

① 人工被覆面による蓄熱日中に熱をため、夜も放出する② 建物の密集風通しが悪く、熱がこもりやすい③ 人工排熱エアコン・自動車などから熱が出る都市の気温が下がりにくい3つの要因が重なり合って都市の暑さにつながります※模式図。影響の大きさは地域や条件で異なります
図② 都市が暑くなる3つの原因(模式図)

① アスファルトやコンクリートが熱を蓄える

道路や駐車場、建物などの人工的な地表面(人工被覆面)は、日中の日射熱をため込み、夜間にも放出して気温が下がるのを妨げます。一方、森林や草地では、水分が蒸発するときに熱が使われます。[2]

② 建物が密集して熱が逃げにくい

建物が高く、密集するほど、地表から空へ熱が逃げにくくなり(放射冷却が弱まり)、風通しも悪くなります。その結果、地表付近に熱がこもります。[2]

③ エアコンや自動車などから熱が出る

産業や社会の活動に伴って出る熱を「人工排熱」と呼びます。たとえばエアコンは、室内を冷やす一方で、室外機から屋外へ熱を出します。気象庁は、都心部では昼間の排熱量が局所的に1平方メートルあたり100ワットを超えると見積もっています。[2]

注意|「地表面の温度」と「気温」は別のもの
  • アスファルトの表面は、とても熱くなることがあります
  • ただし、それがそのまま周囲の気温になるわけではありません
  • この記事では、地表面の温度と気温を分けて説明しています

3 地球温暖化とは何が違う?

どちらも人間活動が原因で気温が上がるという点は共通です。違いは、広がる範囲と原因です。[3]

項目 ヒートアイランド現象 地球温暖化
主な原因人工的な構造物や排熱温室効果ガスの増加
広がり都市を中心とした限られた範囲地球規模

ただし、両者は無関係ではありません。気象庁によると、東京・名古屋・大阪では、地球温暖化の影響にヒートアイランド現象が加わり、全国平均を上回る割合で気温が上昇しています。[3]都市化の影響が比較的小さい地点との比較でも、大都市では特に日最低気温の上昇率が大きいとされています。[4]

💡 ポイント
  • 都市の暑さをすべて地球温暖化のせいにはできません
  • 地球規模の変化と、都市特有の変化を分けて考えることが大切です

4 私たちの生活への影響

① 夜になっても気温が下がりにくい

気象庁は、都市化の影響は日中より夜間のほうが大きいとしています。日中は、大気がよく混ざって都市の余分な熱が上空へ広がります。しかし夜間は混ざり方が弱く、熱が地表近くの薄い層にたまるためです。[5]

② 熱中症のリスク

気温が高くなると、暑さによる体への負担が増える可能性があります。ただし、熱中症は気温だけで決まるわけではありません。環境省は、気温・湿度・風の弱さなどの環境の条件に、体の状態や行動が重なって起こるとしています。[9]

③ 冷房の使用が増える

暑い日が続くと冷房の使用が増え、エネルギー消費の増加につながる場合があります。環境省の推計では、東京23区で気温上昇に影響する熱のうち人工排熱が約5割で、そのうち建物に由来するものが約半分とされています。[10]

都市の暑さを減らすことは、健康とエネルギーの両方を考えるうえで大切なのです。

5 街の緑は暑さを和らげる? 対策

街路樹や公園、屋上緑化などの緑には、2つの働きがあります。米国環境保護庁(EPA)も、日陰と蒸発散を、暑さを和らげる仕組みとして紹介しています。[6]

日陰② 葉から水が蒸散する→ 熱が使われる① 日射を遮り日陰をつくる③ 地面や建物が熱せられにくい模式図(温度の数値は示していません)
図③ 植物が周囲を冷やす仕組み(模式図)
01
木陰をつくる
葉や枝が日射を遮り、地面や建物が直接熱せられるのを抑えます。木陰で涼しく感じるのは、体が受ける日射が減ることも理由の一つです。
02
蒸散で熱が使われる
植物は根から吸った水を、葉から水蒸気として出しています。これを「蒸散」といいます。水が蒸発するときに熱が使われるため、周囲の空気を冷やす働きがあります。
⚠ 緑化の効果には限界もある
  • 緑を増やせば、必ず同じだけ気温が下がるわけではありません
  • 樹木の種類や大きさ、水分、風通し、建物の配置で効果は変わります
  • EPAも、効果は各地の条件で異なるとしています[6]

そのため都市緑化は、植物を増やすだけでなく、どこにどう配置するかも重要です。また、日陰で涼しく感じること(体感)と、実際の気温が下がることは、別の話です。

6 ヒートアイランド現象を減らすには?

日本では、国の「ヒートアイランド対策大綱」で、対策の柱として人工排熱の低減・地表面被覆の改善・都市形態の改善・ライフスタイルの改善などが示されています。[10]環境省は、ヒートアイランド対策のガイドラインも公開しています。[7]

01
都市の緑を増やす
街路樹や公園などの緑地は、日陰の形成と蒸発散を通じて、暑さを和らげることが期待されます。
02
建物の断熱性能を高める
室内に入る熱を減らし、冷房に必要なエネルギーを抑えます。建物由来の人工排熱を減らす取り組みにつながります。[10]
03
屋根や舗装を工夫する
太陽光を反射しやすい屋根材や、地表面の温度上昇を抑える舗装などが、「地表面被覆の改善」の対策として使われています。ただし、反射光が歩行者に与える影響なども含め、周辺環境に合った設計が必要です。
04
人工排熱を減らす
建物や設備の省エネルギー化、交通の改善などで、都市から出る熱を減らします。

都市の暑さは一つの原因だけで生じるものではありません。土地利用・建物・交通・緑地を総合的に考える必要があります。

One Phrase / 今回のポイントを一言でいうと
「街の暑さは、街のつくり方で変えられる」

7 まとめ|よくある質問(FAQ)

📌 今回のおさらい
  • ヒートアイランド現象:都市の気温が周囲より高くなる現象
  • 原因:人工被覆面の蓄熱・建物の密集・人工排熱
  • 地球温暖化との違い:都市を中心とした限定的な現象。ただし両方が重なることもある
  • 対策:緑を増やす・断熱・屋根や舗装の工夫・排熱を減らす
ヒートアイランド現象とは何ですか?
都市部の気温が周囲の地域よりも高くなる現象です。道路や建物、人工排熱などが要因となります。
ヒートアイランド現象と地球温暖化の違いは?
地球温暖化は温室効果ガスの増加による地球規模の気温上昇です。ヒートアイランド現象は、人工的な構造物や排熱による、都市を中心とした限られた範囲の気温上昇です。
ヒートアイランド現象は夏だけですか?
いいえ。気象庁の解説では、都市化の影響は8月より1月のほうが大きいとされています。季節や時間帯、地域によって現れ方は異なります。
なぜ木陰は涼しいのですか?
樹木が日射を遮り、植物の蒸散で熱が使われるためです。ただし、涼しさの程度は環境の条件によって異なります。
ヒートアイランド現象を減らす方法は?
都市緑化、建物の断熱、屋根や舗装の工夫、人工排熱の削減などがあります。
Summary / まとめ

ヒートアイランド現象の重要ポイント

  • 都市の気温が周囲より高くなる現象で、夜間や冬にも現れる
  • 原因は、蓄熱・建物の密集・人工排熱の3つ
  • 地球温暖化とは別の現象だが、都市では両方が重なる
  • 緑化など複数の対策を組み合わせて暑さを和らげる
Coming Soon / 次回予告

次回もお楽しみに!

次回も、環境問題の用語や流れを、わかりやすく整理して解説していきます。

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マイクロプラスチックとは?発生原因・影響・対策を解説(第11弾)

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参考文献・出典
  1. 気象庁「ヒートアイランド現象とはどのようなものですか?」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/cpdinfo/himr_faq/01/qa.html
  2. 気象庁「ヒートアイランド現象の要因は何ですか?」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/cpdinfo/himr_faq/02/qa.html
  3. 気象庁「ヒートアイランド現象と地球温暖化は違うのですか?」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/cpdinfo/himr_faq/03/qa.html
  4. 気象庁「ヒートアイランド現象:観測データ・長期変化傾向」 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_himr.html
  5. 気象庁「都市化の影響は日中と夜間で違いはあるのですか?」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/cpdinfo/himr_faq/07/qa.html
  6. U.S. Environmental Protection Agency, Benefits of Trees and Vegetation. https://www.epa.gov/heatislands/benefits-trees-and-vegetation
  7. 環境省「ヒートアイランド対策ガイドライン」 https://www.env.go.jp/air/life/heat_island/guideline.html
  8. 気象庁「都市化の影響は夏と冬で違いはあるのですか?」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/cpdinfo/himr_faq/08/qa.html
  9. 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症とは」 https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php
  10. 環境省 環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野(建築物外皮による空調負荷低減等技術)「背景・関連情報」 https://www.env.go.jp/policy/etv/field/f05/p2.html